湊町の中心に位置し
シンボル的存在感を放つ物件です。
旧大木道具店(おおきどうぐてん)は三国湊として栄えた町並みの通り沿いの中心部に位置しています。主屋は地元の呉服屋が建てたものですが、その後何度か所有者が変わり、戦後、古美術店兼住宅として使われていました。
主屋の1階はガラス窓で開口を大きく開けた店を構えており、玄関脇には腰を笏谷石としたショーウインドーを備えています。奥の座敷は中庭に面しており、座敷や隣接する部屋には扇や松をかたどった欄間がみられます。
また、店奥の階段を上がると、通りに面する洋室があり、3面にわたって上げ下げ窓が並び、天井高を高くとり開放的な空間を構成しています。奥の座敷は数寄屋風に拵える一方で、通りに面した2階の部屋には洋室を設けるなど近代的な特徴が伺えます。
ガラス窓の多い特異な外観は、三国湊のメイン通り(広小路)の角地に立つことから、斜め向かいの旧森田銀行本店(国登録有形文化財)とあわせて、地区のランドマークとして、町並みの景観に大きな影響を与えている建物です。
坂井市では、PROJECTの一環として、三国湊の風情を保全しながら、湊町にかつての賑わいを創出するために、この「旧大木道具店」を、外観の魅力を守りながら、三国湊の町並みに合うよう補強改修し、店舗として活用頂ける民間事業者を募集します。リノベーション利活用事業決定者には、平成31年4月1日までに、開業していただきます。
坂井市の三國湊は北前船貿易で栄えた港で、幕末から明治にかけて町の中心部に立派な町家がたくさん作られました。江戸時代に文人に愛された風流があります。明治時代に更に繁盛して「文明開化」の珍しい遺産とし旧森田銀行と龍翔館が立派に残っています。
最近、坂井市はこの町並みを整備して、次々と町家館(観光拠点)、旧岸名家住宅(公開施設)、詰所三國(宿泊)などを改修して活用させています。今回は、旧森田銀行の斜め向かい、町の中核的な場所に位置して、かつ建物として美しい「旧大木道具店」を活用することが予定されています。窓が多くて明るいところで、レストラン、画廊、展示スペース、物品販売などに適しています。これからこの魅力的な物件を活用していきたい人を公募しています。歳を構わず「起業家」意識を持つ方は是非応募して、これから新しく発展していく三國湊と一緒に歩みましょう。
Alex Kerr(アレックス・カー)
東洋文化研究者、特定非営利活動法人篪庵トラスト理事長
1952年米国生まれ。1964年家族と共に初来日。エール大学、英国オックスフォード大学卒業後、1977年より京都府亀岡市に在住し、日本と東アジア文化に関する講演、執筆等に携わる。2004年から2010年京都で町家再生事業を営み、その後NPO法人「チイオリ・トラスト」の理事長として伝統家屋の修築保存活動、景観コンサルタントを日本各地で展開。
福井県坂井市三国町では、旧薬局の町家をゲストハウス「詰所三國」としてプロデュースした。
所在地 | 福井県坂井市三国町北本町4丁目5-31
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土地 | 宅地368.26㎡(建物部分)、宅地93.55㎡(タブの木部分) |
建築年度 | 主屋:大正期、 土蔵:明治期 |
床面積 | 主屋:床面積 240.31m2(1F 123.12m2 / 2F 117.29m2) 蔵:床面積119.22m2(1F 76.06m2 / 2F 43.16m2) ※ 床面積は現在のものです。特に損耗の激しかった渡り廊下部分は坂井市で解体済み。 |
駐車場 | 近隣に無料駐車場有 |
[用途地域]商業地域
[容積率]400%
[建蔽率]80%
[防火地域指定] なし
[道路]北側道路(三国15号線)幅員6m ※カラー舗装道路、西側道路(三国41号線)幅員2~2.5m
[設備]プロパンガス・北陸電力、上水道・下水道完備
旧大木道具店の主屋
※ただし、主屋だけでなく自己資金で蔵の活用を併せた提案の場合は審査項目の加点対象になります。
旧大木道具店の周辺景観に与える影響や歴史的価値は高く、今後も魅力あるこの建物を守る必要があります。そのため、所有権は市が有し、改修活用事業者が建物を活用することで、地元住民に愛される地域の宝として次世代に引き継いでいきます。
法人、共同企業体、個人等で、旧大木道具店の活用を継続して適正かつ確実に行うことができる者とします。また、複数の利活用事業者が決定した場合、誠意を持って円滑な活用ができる者とします。
本事業での外観保存や構造補強、建物に付随する設備等にかかる主な改修工事は、平成30年12月末の完了を目標に坂井市が主体となって行います。 活用に必要となる工事・設備機器・備品・什器等の建物に付随しないものについては、利活用事業者 の費用負担となります。→詳細は坂井市総合政策部企画情報課 内 旧大木道具店リノベーション事業事務局まで